Comparison of Anion-sorption Resins for Solid-phase Extraction Toward ICP-MS Analysis of Iodine-129 in Environmental Samples
J. Aoki, M. Matsueda, K. Koarai, K. Fujiwara, M. Terashima, H. Abe (Japan Atomic Energy Agency, JAEA)
To clarify the suitable resin for solid-phase extraction toward ICP-MS analysis of Iodine-129 in environmental samples, anion-sorption resins, i.e., anion-exchange resins (AG 1-X8 and DOWEX 1x8) and Ag+-supported resin (CL Resin), were compared in terms of separation of I from matrix and isobaric elements interfering the ICP-MS measurement. Sorption experiments showed that 99 % of iodine was retained in the anion-exchange resins and the Ag+-supported resin, while matrix elements such as Na, Mg, K and Ca were completely removed. Adsorbed I on all resins was completely eluted by XXX solution, while only the Ag+-supported resin could retain the isobaric elements such as Mo, Cd and In. In addition, the minimum volume of eluate for I was observed in the Ag+-supported resin. Thus, these indicate that, among the resins, the Ag+-supported resin is the most effective to remove matrix and isobaric elements from I in environmental samples.
環境試料中ヨウ素-129のICP-MS分析に向けた陰イオン抽出樹脂の比較
青木 譲、松枝 誠、小荒井 一真、藤原 健壮、寺島 元基、阿部 寛信 (日本原子力研究開発機構、JAEA)
環境試料中の129Iを高感度且つ短時間で分析するICP-MS法は、測定に干渉する同重体元素や環境試料中のマトリックス元素の除去、および、129Iの高倍率濃縮を必要とする。しかし、様々な固相抽出樹脂がその濃縮・分離に適用されている一方、どの樹脂が環境試料中129IのICP-MS分析に最適かは明らかにされていない。本研究では、Iの前処理に実績のある陰イオン交換樹脂とAg+担持樹脂を対象に、Iの濃縮特性、同重体干渉元素及びマトリックス元素の除去特性を比較し、どちらの樹脂が環境試料の分析にとって最適かを調査した。
試験では、陰イオン交換樹脂として、AG 1-X8(第4級アンモニウム基を有するスチレンベニルベンゼン共重合体)とDOWEX 1x8(第3級アンモニウム基を有するスチレンジビニルベンゼン共重合体)を用い、Ag+担持樹脂には、Ag+と有機ホスフィンスルフィドを担持したアクリル酸エステルで構成されるCL Resinを用いた。吸着実験は、ディスポーサブル遠沈管に、樹脂100 mgと1 ppmに調製した多元素標準溶液1mL( I、同重体干渉元素(Mo、Cd、In)、マトリックス元素(Na、Mg、K、Ca)を含む)を加え、振とう機にて2000 rpm、20ºCで1時間混合して行った。混合試料をPTFEシリンジフィルター(孔径0.45 mm)で吸引ろ過した後、ろ紙上の樹脂に溶離液(アルカリ性)を5 mL添加し、再度吸引ろ過により溶出液を回収した。溶出液に含まれるI、同重体干渉元素、マトリックス元素の濃度をICP-MSを用いて定量した。同重体干渉元素については、除染係数(=初期濃度/溶出液濃度)を算出し、溶出液中に残存するIとの分離可能性を評価した。
吸着実験の結果、DOWEX 1x8、AG 1-X8 、CL Resinは定量的(吸着率>99%)にIを吸着した。一方、マトリックス元素(Na、Mg、K、Ca)の吸着率は、0%であり、ICP-MSの感度の減少を防ぐことが出来た。また、溶出液中の濃度に基づく同重体干渉元素(Mo、Cd、In)の除染係数は、CL Resinで3.2×101、>5.3×103、>3.2×103、DOWEX 1x8で5.3、2.5×102、9.3、AG 1-X8で1.0、1.3×101、6.8であり、CL Resinが同重体干渉元素の除去に最も有効であることが分かった。さらに、CL Resinは、I溶出に必要となる溶離液量が5 mLであり、DOWEX 1x8やAG 1-X8で必要とする10 mLの半分で済むため、溶出によるI希釈を最小限に抑えることができた。従って、CL Resinは、DOWEX 1x8やAG 1-X8と比較して、同重体干渉元素やマトリックス元素からのI分離に、最も有効な固相抽出樹脂であると考えられた。
Comments